弊社では、福祉用具専門員の資格を取得したことにより、以前よりも介護の観点から住宅を見る視野が広がりました。
リフォーム等でご自宅へお邪魔させて頂く際に、住みやすい住環境になっていない住宅が多いと感じることもあります。
具体的には、「階段やトイレに手すりが取り付けられていない」や「家中に段差がある」等です。
その中でも特に気になった「階段手すり」についてご案内いたします。
階段の手すりについて
階段に手すりは、家を購入した時に最初から付けるものと思われている方も多い事でしょう。
しかし、手すりは意外に設置されていないご家庭が多くあるのをご存じでしょうか。
現在は、家を建てる際には手すりの設置が義務付けられていますが、
平成12年以前は、階段に手すりの設置が義務付けされておりませんでしたので、
手すりが設置されていない住宅も少なくありません。
高齢者が階段で転倒することが多いのは、手すりが設置をしていない事が原因の一つでもあります。
その中でも、「勾配が急になっている・階段幅が極端に狭い」等の危険な状態になっている場合は、
早急に手すりを設置するなど対策をすると良いでしょう。
手すりを取り付けるタイミング
わざわざ注意喚起をしなくても自分は元気だからと考える方もいらっしゃると思います。
その「自分は大丈夫」という過信が、重大な事故を引き起こす可能性もありますので、
いくら元気な方でも身体機能の低下を防ぐことはできません。
また、加齢とともに知らず知らずのうちにバランス感覚が低下してしまって、些細な段差や動きへの対応が難しくなってきます。
一度の転倒で、骨折して入院や寝たきりになってしまう原因にもなりかねません。
「ここに手すりが欲しい」と少しでも感じた事がある方は、迷わず手すりを設置されると良いでしょう。
手すりの費用について
階段の形状にもよりますが、取り付け費用は10万円ほどになります。
事故を未然に防ぐことができると考えれば、そこまで高い費用ではありません。
それでも手すりをDIYで設置をして、費用を少しでも抑えたい方もいるかと思いますが、
DIYで設置した手すりは決して安全性が高いとは言えません。
もしもの時に外れてしまったり、壊れてしまっては全く意味がありません。
安全性をしっかり守るためDIYで設置するのではなく、信頼ある工事会社に依頼をするのが良いでしょう。
福祉用具専門員の目線として
手すりの設置は留意事項が多く、設置する場所によって高さなども考慮する必要があるため、慎重な対応が求められます。
設置する位置は一人ひとりの心身状況によっても異なるため、置かれている状況をよく把握する必要があります。
その為、あくまで目安ではありますが、階段に設置する手すりは、直径32~36mm程度の円形手すりが望ましいとされています。
高さは75~80㎝を目安に、踊り場部分においても設置をするのが良いでしょう。
手すりが高すぎると重心が後ろに行ってしまい転倒のリスクが高まりますし、
手すりの先端は、衣服の袖口が引っ掛かる恐れがあるため、壁側に曲げこむ必要があります。
階段の手すりは、両側設置が望ましいです。
両側設置が望ましい理由として、片麻痺がある場合は、階段を昇る時と降りる時に掴まる手すりが異なるためです。
やむを得ず片側にしか設置できない場合は、階段を降りる際に使う側に手すりを設置してください。
昇る方ではなく降りる方を中心に考えるのは、階段を降りるときの方が転落をする事故が多いためです。
介護の必要性がある場合、手すりの設置費用に介護保険制度を適用する事もできます。
このように、階段の住宅改修をご検討される場合は、
大事な身体を支える安全な手すりにするためご自分で判断することも難しいと思いますので、
お気軽にご相談してみてください。
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