東日本大震災や能登半島地震で起こった大規模火災の多くが漏電・通電火災が原因とされています。
近年新築をはじめ耐震に優れた家は増えていますが、防災対策が備わった住宅はそこまで多くなく、
耐震に耐えたとしても火災で燃えてしまう住宅も少なくありません。
感震ブレーカーは電気火災を防ぐ安価で取り入れる事の出来る防災対策の一つとして、国からも設置が推奨をされています。
しかし全国的にみても感震ブレーカーの設置は進んでおりません。
感震ブレーカーの用途や太陽光発電・蓄電池との相性なども含めて導入のきっかけにしてください。


感震ブレーカーとは
震度5程度の大きな揺れを感知すると自動的に電気を遮断するブレーカーになります。
感震ブレーカーが作動すると自動復旧をしないため、揺れが収まった後に自分のタイミングで復旧が出来ます。
大地震が起こった場合、漏電を引き起こす可能性も高いため、
ブレーカーを落としたうえで、避難をするのが良いとされています。
感震ブレーカーが作動していたら、自分でブレーカーを落とす必要がないため、迅速に避難が可能です。
外出時で家に戻ることが出来ない場合にも有効です。
感震ブレーカーは分電盤に内蔵されているタイプや後付けするタイプ等がございます。
分電盤の耐用年数は13年のため、分電盤が古いようでしたら感震ブレーカーが内蔵している分電盤への取替をお勧めします。
漏電ブレーカーと混同しやすいですが、それぞれ機能が違います。
「感震ブレーカー」は揺れを感知したときに作動をして、「漏電ブレーカー」は漏電を感知したときに作動をします。
漏電ブレーカーに感震ブレーカーの機能を備えた物もあるため、防災の強化をしたい場合どちらも付けるのが良いです。
感震ブレーカーが広まらない理由
地震の際の火災の原因である漏電や通電火災が感震ブレーカーで防げる事が伝わっておらず、
安価で出来る防災対策であるにも関わらず感震ブレーカーの認知度は低いです。
国が電気火災により周囲一帯を巻き込んでしまう危険性のある木造住宅密集市街地を中心に
2019年より感震ブレーカーの設置を推奨しており、地域によっては補助金が出るところもあります。
新築を建てる際に防災対策を意識している施工店は、
感震ブレーカーを最初から備え付けられている分電盤を進める事がありますが、
後付けで感震ブレーカーを付ける家庭はほとんどありません。
周囲一帯を防ぐため、地域一帯で防災対策の重要性を取り組むことが出来るのが理想です。
感震ブレーカーを取り付ける際に気を付けるポイント
感震ブレーカーは震度5程度の地震が発生した3分後に作動します。
感震ブレーカーが作動したとき慌てないように、地震発生時にどのように行動するか予め想定しておかないといけません。
地震は日中に起こるとは限らないため、真夜中に電気が付かないとパニックになって、
避難が遅れてしまっては元も子もありません。
懐中電灯等照明器具の場所や復旧の仕方を家族で共有をしておく必要があります。
また全てのブレーカーを遮断してしまうため、
医療機器や常時通電が必要な機器を使用している場合は設置出来ませんのでご注意ください。
その場合、停電の危険性を考慮して電気を止めないように太陽光発電や蓄電池を導入するのがよいでしょう。

復旧の際に気を付ける事
地震の規模など状況を把握するため、電気をすぐに復旧をさせたいところではありますが、
すぐにブレーカーを復旧させてはいけません。電気がなくても使えるラジオなどで情報把握をして頂き、
「焦げたにおいがしないか」「火災に繋がるヒーターなどが倒れているものはないか」を
十分に確認をして頂いてから復旧ください。
焦げたにおいがする場合は、漏電をしている可能性が高いため、
漏電箇所を特定しその部分のコンセントから電源コードを必ず抜いて下さい。
感震ブレーカーと太陽光発電・蓄電池との相性
感震ブレーカーを検討している方の中には、
停電対策として、太陽光発電・蓄電池を導入している若しくは検討をしている人もおられると思われます。
太陽光発電のみを付けられている場合は、感震ブレーカーは通常通り作動しブレーカーは落ちます。
しかし、蓄電池を付けられている場合は注意をして頂きたいです。
蓄電池はブレーカーが落ちたときに、瞬時に自動復旧をさせるため、感震ブレーカーが作動させることが出来ません。
ですので、蓄電池を導入している方は、電気が復旧したと安心するのではなく、
漏電をしていないか、異変は無いかしっかり見て回る必要があります。
最後に
近年地震の頻度が多いため、防災グッズを準備しているご家庭も多いと思います。
防災グッズはもちろんの事大切な家を守るための防災対策も併せて行ってください。
感震ブレーカーの設置が推奨されている燃えやすい木造住宅で
太陽光・蓄電池を導入する場合、屋根の補修工事が発生したり、通常より余分に費用が発生する可能性もあります。
停電対策ではなく、感震ブレーカーを入れて防災対策を強化するのもいいです。
弊社が分電盤を確認させて頂く際も感震ブレーカーを付けている住宅はほとんどありません。
感震ブレーカーの認知度不足を肌で感じるため、防災対策の必要性をいま以上に訴求して参ります。
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